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忘れた頃にバレット!

2010年09月28日 21:30

 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、シド・バレット。
四年前の七夕に彼が亡くなった際、「得意の死人商法すんなら『クレイジー・ダイヤモンドBOX』をリマスターしてくんねーかな」と思ったら特に何もリリースされず、彼にまつわる権利を所有してる輩をちょっと見直しました。
ほいだら、忘れた頃に、その名もバレット!
ちみの部屋にもバレット!ミラノ・コレクションの最前列にもバレット!

 えー、シド・バレットのベスト盤が出るそーです。
Syd Barrett
で、単なるベストじゃなく、ピンク・フロイド時代のもんからソロ作までを新たにデジタル・リマスターし、デイヴ・ギルモアが新たに音を付け足したリミックス・トラックも含まれると。
一見、ギルモアの小遣い稼ぎに思えますが、彼はバレットが家でジャム・セッション(バレット家は中流階級で、自宅の一部を開放してジャムというか、近所の少年少女が楽器を持ち寄って騒いでいた時期がある。)をしていた頃に一際巧いギター少年で、バレットがピンク・フロイドをリーダーでありながらクビちょんぱされたときの後釜です。現在のピンク・フロイドはギルモア主導ですね。
んで、ギルモアはバレットのソロ作を義理堅くプロデュースしてます。
単なるプロデュースじゃねーです。

 ディープ・パープルを一回目に脱退したリッチー・ブラックモアがレインボーを結成し、後に『イン・ロック』や『マシンヘッド』時代のベーシスト、ロジャー・グローバーが加入しプロデュースも手がけるよーになりました。
こりはディープ・パープルが1984年に再結成してからも続いとります。
んで、グローバー曰く「リッチーのギター・テイクを録るのは大変だ」。
なんでも、本番を告げるとイマイチで、休憩中に素晴らしいソロを弾くと。
「そういうテイクが欲しい」と再度挑むもイマイチ。
性格の悪さからくる故意なのか、元々シャイでリラックスしたムードじゃねーと思い通りに弾けねーからかは不明です。(ブラックモアの妻でありブラックモアズ・ナイトのヴォーカル、キャンディス・ナイトの「ライブより自宅の方が素晴らしいギターを弾いている」という証言もある。)
なので、グローバーは、練習には勿体ねーよーな演奏を始めそうになると録音ボタンを押すよーになったみてーです。
で、シド・バレットの場合、ソロ・アルバム制作時において、既に人格崩壊してますから、その比じゃねーっつー。
『帽子が笑う...不気味に』とかに当時のアウトテイクがボーナス・トラックとして収録されましたが、これがまともに弾けなかったり、思いっくそ歌が音外したりで、よくデイヴ・ギルモアはアルバムとして完成させたな、と。
んなわけで、少年時代の出会いとその後のバレットとの関係を考えると、リミックスとか大胆なことできるのはギルモアだけだろーなぁ、と。
ジャケットもヒップノシスのストーム・ソーガソンが手がけてますし。
ただ、納得いかねーのが、Opelが収録されてねーことです。
シド・バレットのことなんかすっかり忘れ去られた頃に発掘された名曲です。僕なんかだと、これがリリースされたことで彼の作品に耳を傾けるよーになったくれーですから。
この曲のリマスター・テイクと、ギルモアがアコギでバレットの危うい演奏をバックアップするリミックス・テイクが入ってりゃ個人的に嬉しかったんですが。

 以前、FC2で駄文を書いてた頃に、何回にもに分けてシド・バレットについて書きました。
で、改めてなんですが、活動期間が短いのに他分野にも影響を及ぼしたミュージシャンは珍しいと思います。
シド・バレット自身がまともに創作していたのは、ピンク・フロイドのデビュー・シングルArnold Layneから1stアルバム『夜明けの口笛吹き』、一番人気のシングル「エミリーはプレイ・ガール」でしょーか。幅を広げても2nd『神秘』の一部です。
アーサー・ブラウンやプロコル・ハルムなんかが常連だったクラブUFOにおけるデビュー前の活動も含めたって三年くれーです。
ただ、周辺にいた人物が後々色んな分野で頭角を現してったんで、かなりカリスマ性があった存在だと思われます。

 元々アート・スクール出身だからか、服装、髪型等からも感受性の豊かさがうかがえます。なんでも、それらはオリジナルだそーです。
んで、同級生にヒップノシスを結成することになるストーム・ソーガソン。
照明を過剰に用いた演出はシド・バレットとストーム・ソーガソンの思いつきだったよーです。(カラー映像が存在しないため、どれほどのものだったかは把握できないが。)

 サイケデリックな音は後続のバンドが真似ましたが、混沌としつつポップで聴きやすいっつーのがシド・バレットの作曲、アレンジにおける才能だと思います。
実際、メジャー・デビュー前のデイヴィッド・ボウイの音源聴くと影響がわかりますし、『ピンナップス』で否定派が多いながら「エミリーはプレイ・ガール」をカヴァーしてますしね。
てかね、よく記事で触れるコズミック・メイトのミックって奴が知り合った頃メジャー・デビュー前のデイヴィッド・ボウイに似てたんすよ。私信よろしく、こんな感じだったよな?
bowie.jpg

えー、お話戻して、デビュー前から不可思議なサウンドと奇抜な演出が噂になり、客の中にはポール・マッカートニーやマリアンヌ・フェイスフルもいたそーです。
んで、ビートルズが『サージェント・ペパーズ』をレコーディングする際、別室で『夜明けの口笛吹き』をレコーディングしており、様子を見に行ったポール・マッカートニーがたまげたっつー逸話が残されております。
『夜明けの口笛吹き』は「ピンク・フロイド?哲学的で小難しいんでしょ?」っつーしとにもオススメできる名盤です。
現在、発表四十周年を記念して、ステレオ版とモノラル版を二枚組にしたもんが再発されてます。
ジェファーソン・エアプレインの『シュールレアティック・ピロウ』の同様のエディションはぴんとこなかったんですが、『夜明けの口笛吹き』はアタリです。

 1960年代のカウンター・カルチャーといいますか、諸々の作品は興味深いです。
今や各分野、高尚なゲージツのごときですが、音楽も絵も映像も「面白そうだからやってみようぜ!」みてーな、ぐっちょんぐっちょんぶりが。
で、その背景にはラブ&ピースなムーブメントがあるわけですが、これの発端も興味深ぇです。
当時、色々なドラッグが若者の間に蔓延しましたが、このムーブメントで最も摂取されたのがLSDじゃねーでしょーか?

 アルベルト・ホフマンが麦角菌の研究から偶然発見したリゼルグ酸ジエチル・アミド。
人間のあらゆる知覚を研ぎ澄ます効果から、当初は精神病理の治療に使えるんじゃねーかと臨床実験が行われたそーです。
で、結局「逆効果」っつー結論に至ったわけですが、これを「民衆の洗脳に使えないか?」と米政府が広めたっつー都市伝説があります。
「んなアホな」とも言い切れんくらい強力な効果があったことは確かなわけで。
この効果に感動を覚えたハーバード大学の教授が「悟りを開くぞ」とインドに行ったら、そこで出会った「悟りは己で開くものぞ!」な聖人にわけてあげたら「もっとくれ!」っつったくれーですから。
このLSDはアメリカ西海岸を中心に広まりましたが、諸外国じゃレアなもんでした。
ほいだら、イギリス初のLSDの売人がシド・バレットの住むアパートメントに入居。
もうね、なんとかに刃物ですよ。

 ピンク・フロイドのメンバーも、液状のものを角砂糖に染みこませて常用してたことがあるそーですが、売人が隣人なシド・バレットはLSDだけじゃなく様々な薬物に手を出すよーになります。
独自のサウンドかつ売れる曲を作らなきゃならんプレッシャーと、薬物による精神的なダメージが蓄積され、通常であれば一過性の精神的障害が病理に発展しちまいました。
これがきっかけでリーダーなのにバンドをクビちょんぱされちゃうんですが、その後、彼の周囲に集まった輩が色々薬物を勧めたわけです。
てかね、奇抜なことを考える=精神的に幼い面がある、と思いますんで、勧められなくても「俺にも分けてくれ」だったと思いますが。
結果、治療不可な状態にまで陥り、バレットはソロ・アルバムを二枚発表して隠居してしまいました。

 ただ、シド・バレットっつーしとのカリスマ性っつーのは身近にいたしとにはハンパなかったよーで、ピンク・フロイドは『夜明けの口笛吹き』を発表しつつ同名異バンドみてーに変遷してきますが、(バレットが)「レコーディングをのぞき見てた」とか「コンサートの最前列にいた」とかっつー真偽不明なエピソードがあります。
実際、『炎~あなたにここにいてほしい~』は、「シドのことじゃない」と言いつつシド・バレットをモチーフにしたアルバムですし、デイヴ・ギルモア曰く「スタジオ・アルバムで新作を制作する予定はない」で事実上、最終作になった『対』の最後、High Hopesもバンド黎明期を思わせる歌詞ですし。
なお、バレットは隠居してから、あらゆるアートに関する本を執筆していたそーです。
が、あくまで自身のためのもんで、公に出版するものじゃねーと。
興味深いですが、それ出しちゃったらお終いっすからね。
んなわけで、「エミリーはプレイ・ガール」を聴いてみましょー。
シド・バレットがメンバーを殴って演奏が始まるのがシュールですね。てか、一人だけオサレな格好だなぁ。
<See Emily Play/PINK FLOYD>



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