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『ハートに火をつけて』/ドアーズ(デビュー40周年エディション)

2011年07月29日 21:50

13393.jpg『ハートに火をつけて』(1967年発表)
<デビュー40周年エディション>
(2007年発表)
1.Break On Through (To The Other Side)
2.Soul Kitchen
3.The Crystal Ship
4.Twentieth Century Fox
5.Alabama Song (Whisky Bar)
6.Light My Fire
7.Back Door Man
8.I Looked At You
9.End Of The Night
10.Take It As It Comes
11.The End
12.Moonlight Drive (Version 1) (Bonus)
13.Moonlight Drive (Version 2) (Bonus)
14.Indian Summer (8/19/66 Vocal) (Bonus)



 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、米Amazonで購入したのは他作品で、どーも酔っぱらってデビュー作だけ日本Amazonで注文したよーです。(酔っぱらいは恐ろしいな。)
いや、多分、会計時の割引とかから「1stだけは米と値段変わらんじゃん」と思ったのかと。思いの外スピーディに届きました。
で、ドアーズ・ファンを自称しときながらビンボー故に未聴だった、ブルース・ボトニックが手がけたデビュー40周年盤。
一言で語るなら「若年層の新規ファン開拓」。

 こり、賛否両論な理由がわかりました。

音が1960年代の作品とは思えない。

良く言えば「へぇ、ここまで出来るんだ」とか未体験のしとは「ドアーズってカッチョエエ!」ですが、悪く言えば「色々といじりすぎだろ」と思いました。
最初に結論書いちゃうと「未体験ならコレを買え。思い入れのあるファンは以前のリマスター盤を売るな」です。
まず気になったのが、音の分離が良すぎです。
こりはやっぱ、1970年代から本格的に導入されるよーになった設備があってこそと、最新鋭の技術の融合かと。

 いぢりすぎと思ったのは、ロビー・クリーガーのギターが「録りなおしたのか?」っつーくれー音のツブが揃ってるのが一点。
ファンの思い入れは様々ですが、彼は様々な楽器を試し、最終的にエレクトリック・ギターに辿り着きました。
ただ、ラヴィ・シャンカールのインド音楽教室とスパニッシュ・ギターのレッスンを受けてたんで下地はあり、エレキ・ギター歴一年の割に弾けてる方かな、と。
この彼のギターが作品をおうごとに上達してくのがまた楽しみなわけだったんですが、アイディア先行(彼はテクニックより作曲能力等が当時優れていた。)ながら「んー、もう少し上手かったら」なとこが修正されとります。
功を奏したのはEnd Of The Nightとか、どっちかっつーと捨て曲にされがちな曲できっちり弾いてるよーにいぢってるんで早送りしねーで済みます。
あと、以前のリマスタリングで「うぉっ、ジャズの名盤みたいじゃん!」なジョン・デンズモアのドラムが喧しすぎです。
特にライド・シンバルやハイハット。彼の持ち味である絶妙な強弱の付け方が無くなってるっつー。
特に、マニヤが指摘したとーりLight My Fireはテンポが若干速くなっており、僕なんかはオルガンとギターのソロに入るあたりで、泥酔しながら虚ろな目をして大音量で聴くのが好きだったんですが。
こうね、テローンテローンテローン...お、きたきたきた!「タカタカタッタ、タンタンタン!チャンチャラランラ~♪」とイントロが再び鳴り響くとカタルシスを覚えるのです。
でも、ロックにそんなん求めねーなら、鋭角に聞こえるスネアとかこの程度のテンポがええのかな、と。

 一番不可解と申しますか、絶対音感がねー僕の耳なんで断言できねーんですが「ジム・モリソンの歌、ピッチいじってないか?」と。
ただし、単に音程を正確に合わせたなら萎えますが、息づかいや声の掠れ等の、おそらく当時のアナログ盤でも聞こえなかったと思われる波形を拾って自然な状態にしとるのはお見事だと思いますが。
だって、ボーナス・トラックの1966年録音と記されたIndian Summerが後に収録される『モリソン・ホテル』よか上手いんすもん。
ただ、The Endは大胆なリミックスはしてねーですね。これやったら酷評されてたと思います。

 The Endは、僕みてーな後追い世代が聴くと「プログレッシヴ・ロックへの布石だ」と演奏や展開がやや稚拙な点も「1966年からライブで演奏してた事実と、1967年にアルバムにこんな曲を収録するのも前代未聞で凄い」なんて思いますから。
この曲は、一回目の録音にイマイチ納得できんかったプロデューサーのポール・ロスチャイルドが「もう一回だ」と二回目に録音したものの前半と後半を繋ぎ合わせてます。
なので、この曲を変にいぢったり、別テイクに替えたりするとドアーズ自体の価値が半減しますから。
別テイクなら未発表曲集出せっつー。

 本作のボーナス・トラックは、前述のIndian Summerの他、次作『まぼろしの世界』に収録されたMoonlight Driveのアレンジ違いが二通り収録されとります。
時勢からいって、ヴァージョン1をシングルにしてたらヒットしたと思います。
ポップでオサレなサイケで、ジム・モリソンの歌もメロウだからです。
ただ、このテイクを採用せず、ジョージ・ガーシュインのSummer Time(ジャニス・ジョプリンのカヴァーが有名なアレ。)のイントロをパクったアレンジで良かったと思います。
ドアーズ=暗いっつー代名詞にもなった最高傑作『まぼろしの世界』の世界観をぶち壊さないんで。
とはいえ、秀逸なアレンジなんで、最後に聴いてみましょうか。

 冒頭で既に書いたよーに、本作は昨今の明瞭な音に慣れた層や、触れたことがねー向けだと思います。
んなわけで、試行錯誤しながら古くさいながらも生々しい音が好きなら、過去にデジタル・リマスターされたのは手放さないこってすな。
てか、紙ジャケやらで何度も再発されてますから、中古で容易に入手できると思いますが。

<Moonlight Drive(ver.1) - The Doors>


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