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オペレーション:マインドクライム/クィーンズライク

2011年05月22日 22:10

OperationMindcrime.jpg【Operation: Mindcrime/Queensryche】
(1989年発表)
1.Remember Now
2.Anarchy-X
3.Revolution Calling
4.Operation: Mindcrime
5.Speak
6.Spreading The Disease
7.The Mission
8.Suite Sister Mary
9.The Needle Lies
10.Electric Requiem
11.Breaking The Silence
12.I Don't Believe In Love
13.Waiting For 22
14.My Empty Room
15.Eyes Of A Stranger



 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、福島第一原発の事故発生時は、どいつもこいつも口裏合わせてましたが、なんかここ数日は乞食の喧嘩状態ですね。
いやね、「本当に先進国の危機状態なんだろうか?」と思うと下手なバラエティ番組より笑えるわけです。
僕ら市井のしとじとは危険や不安にまみれてんのに。
んで、こーゆー世相になると出てくるのが新興宗教や妙な市民団体です。
こりを予想してたしとはかなりいると思います。他、豊田商事みてーなことが起こるんじゃねーかとか色々。
確かに、クーデターでも起きねーとダミな状態だと思うんですが、上述のよーな団体がなんかしでかしてもアナーキーな状況になって更に悪化すると思われるんで、やっぱ大事なのはテメーで考えられる頭です。

 前回の記事でアイアン・メイデンを採り上げましたが、彼らのアルバムに映画『ブレードランナー』をモチーフにしたもんがあります。
んで、同じく『ブレードランナー』やジョージ・オーウェルの小説『1984』やらをミックスしたよーなコンセプト・アルバムが本作です。
アイアン・メイデンの『セブンス・サン・オブ・セブンス・サン』(このタイトルは、ヨーロッパ、アイルランドだったかも知れないが、”七番目に産まれた子供の、そのまた七番目の子供は触れるだけで人の病を治すことができる”という民間伝承に由来していると予想している。)とほぼ同時期に発表されたんで、当時の欧米っつーのは混乱しとったんだと思います。

 クィーンズ・ライクは元々普遍的なメタル・バンドでしたが、本作以後、ある種のコンセプトを元にアルバムを発表するよーになりました。
でも、ここまで楽曲、ストーリー共に練られた作品を作れてねーです。
そんだけ、完成度が高い証拠でもありますが。
今世紀に入って名作アルバムの再現ライブが当たり前になりましたが、本作は今観ると陳腐ながらアニメーションやらを駆使した全曲再現ツアーを行いました。映像作品にもなってまして、いずれDVDで買い直そうと思い数年以上。嗚呼。

 簡単にストーリーを紹介するとこうです。
冒頭で主人公ニッキーはベッドに拘束されとります。
彼は社会的底辺で生きてきた薄幸な青年です。
んで、ビッチな看護師がやってきて様子をうかがいます。
話しかけての応答も廃人同然な彼に「うんうん、良好やね」と思った彼女は、粋なクスリを注射します。
「素敵な夢見てね...この、くそったれが!」と呟き病室を去ります。
この直後、彼は「思い出した。今、全部思い出したぞ...」と呟き本編が始まります。

 混迷する社会に疑問を覚えていたニッキーは、反政府・反体制を掲げるドクターXが率いる団体に入ります。
最初は「革命が君を呼んでいる!」っつー熱にほだされますが、気がつけば薬物によって洗脳されてたっつー。
彼を操るために定期的にクスリを供給するんですが、その役割を担うのが尼層のメアリー。
彼女もまた、体を売って生計を立て、教会に保護されたと思ったら神父の性奴にされたっつー底辺の人間です。
最初はクスリの提供者でしたが、似た境遇に彼は彼女に恋愛感情を抱きます。

 見事に洗脳されたニッキーは、ドクターXにとって有能な人材です。
そんな彼に任務が下されます。

「メアリーを殺せ」

ニッキーは困惑します。クスリを提供してくれるパイプ役だからじゃなく、最愛の女性だからです。
彼は任務を全うできず、彼女を性奴にしていた神父を殺します。
が、結局、彼女はドクターXの指令により自殺してしまいます。
その事からと思われますが、彼は日々静脈注射していたものが偽りで自分を操るためのものだったと理解します。
そして、彼女が眠る教会に無常を感じ洗脳が解ける瞬間まで思い出します。

 自分が底辺に生きる反体制分子であったこと、社会を変えようと一念発起したら洗脳されてしまったことを思い出し、鏡に映った己の顔を見つめます。
が、記憶は戻っても、そこに映った顔は自分のものとは自覚できねーという。
特に眼差しは見知らぬ誰かのものです。
そして冒頭に戻ります。

I remember...I remember now.

なお、本作の続編が制作されましたが、前評判よりかなり劣るもんでした。ストーリーは中々だと思いましたが。
んなわけで、皆様と同じく笑ってる場合じゃねえよっつー僕ですが、新興宗教やらに騙されねーよにしましょー。いや、ホント。
で、映像作品になったライブを観てみましょーか。
かれこれ二十年以上前なんで、服装とかステージが陳腐に思えますが、僕が中学の頃は「こりゃすげぇ!」と思ったもんです。

<Anarchy-X~Revolution Calling/Queensryche(Live1991)>


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Anger Management/FiRESiGN

2011年01月31日 17:16

【今日の記事は本題の他、30~40代には懐かしい名前が出てきます。】

 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、FiRESiGNの紹介です。

Firesign-Anger-Management.jpgAnger Management
(2007年リリース)

1. Pressure
2. Explode
3. Samsara
4. Stigma
5. Cyber-Haters
6. Unjustified
7. No More Dream Girl
8. Dystopia
9. Hammering the Way Out
10. Rise from the Ashes
11. My Soul



【この作品を一言で語るなら「どうせならインダストリアルかブリット・ポップ風にすりゃよかったのに」。】

 山田雅樹によく触れますが、そりゃやっぱ、同じ北海道出身ってことと、性春時代、つまりセンズリ三昧な十代前半に聴きまくったバンドで歌ってましたから。
EZOとラウドネス。

 ラウドネスはオリジナル・メンバー時代も、マイク・ヴェセーラ時代も聴きましたけど、山田雅樹とX Japanを脱退したベースの沢田泰司が加入した、セルフ・タイトルのアルバムは衝撃的でした。
loudness.jpg
音の分離がしっかりしてて、まだ演奏の巧拙がわからんガキでも演奏力の高さがうかがえる名盤です。
なんでも、リマスターしたもんが予想以上の高音質らしいんですが、発売当初のもすげークリアーです。
ジャケットも横尾忠則のトリック・アートでして、良い意味でメタルのジャケっぽくなかったです。勝負に出たって感じでしたねぇ。
ただ、日本国内じゃ過去最高(当時人気絶頂だったX Japanを脱退した沢田泰司加入も大きいと思う。)のセールスながら、海外じゃダミだったみてーです。
てか、時期が悪かったですね。
僕、高一の頃だと思いますが、このアルバムからPray For The DeadとFirestormをバンドでコピーして唄いました。
ブルース・マンの歌唱法を研究する前で、ケッコー高いキーが出てたんですが、どーやって唄ってたんすかね?
記憶に残ってんのはPray For The Deadは最初のトーンを外さなきゃ「タンマ!もっかい!」にならなかったことですね。

 ともあれ、今聴くとそんな悪い作品でもねー『ヘヴィ・メタル・ヒッピーズ』(1996年頃なら「ストーナー・メタル」と呼ばれていたと思われる佳作。もしくは、アルバム・タイトルの名義だったら当時叩かれなかったと思われる。)を挟んで、リーダー高崎晃の「親父から届いた年賀状から氣が発せられていた」っつー「新興宗教か?それとも紙にハマったのか?」っつー発言をきっかけに製作したソロ・アルバムから、「インド三部作」なるもんが続き、インドっつーよりバンコクなジャケがよくて買ってましたが結構辛いもんがありました。
ラウドネスらと並んで日本を代表するメタル・バンド、アンセムのベース柴田直人も参加し話題性はあったんですが、ほぼ高崎晃のソロ・バンド化してたんで、曲が...。
india.jpg
最終作『エンジン』のジャケに写ってるネーチャンが好みで、三部作買っちゃいましたが、流石の山田雅樹もコンディションが思わしくねーよーに思え、ファンもライブでの高崎晃の奇行や発言(注)にどん引きしすること多々あり。
今世紀に入りオリジナル・ラインナップに戻りましたが、若い世代をファンにつけよーっつーアルバムが多いよーで、こーゆーのに山田雅樹のが適材なのになぁ、と。
なお、ヴォーカルである二井原実の変貌ぶりにたまげました。(かなり肥えた。)

 ラウドネス脱退後、山田雅樹はSNAKE BITEっつープロジェクトを企画してたはずです。
が、同時期にNYで広島出身のAYAと知り合い、彼女が1998年から始めたFiRESiGN(綴りをオフィシャル表記にしているのは、オーストラリアに同名のバンドが存在するので。)になんと、ベースとして参加したっつー。
で、NY在住故か同時多発テロの犠牲者に捧げたシングルを発表し、2007年にやっとこフルレンス・アルバムとして発表されたのが本作です。
2011年現在、バンドとして活動しとるよーですが、この二人のプロジェクトっつーのが前提みてーです。
ayamasakki.jpg

 で、こり、音的にデモ・テイク集です。
各曲は悪くねぇです。なので、駄作とは言い切れねぇです。
問題は、おそらく現在は正式メンバーになっとるギターが参加した曲以外、ギターは薄っぺらく、なんとドラムが打ち込み。
しかも、抑揚のないダダ打ちと、金物系の音が「いつの時代のよ!?」っつーもんで、そりならファクトリー・ノイズやエレクトロニクス・ビートのがええです。
んで、こりが一番のネックだと思うんですが、ヴォーカルのAYAが線の細い声ってとこです。
バラードであるNo More Dream Girlはええんですが。
山田雅樹もコーラスで参加しとる曲が結構あるんですが、かなり音圧下げとるのに個性的な声も相成ってAYAより目立ってるっつー。
ラウドネス時代最後の『エンジン』じゃ「衰えはえーなぁ」と思ったもんですが、ありゃかなり無理してたんだと痛感。
なんとなんと、あの声はまだ健在です。
二人のバンドっつーかプロジェクトであることは変わりねーみてーですが、現在はちゃんとドラムもいるみてーなんで、次作は大分よくなると思います。
んー、でも、メタル、てか、ハードロックな曲調でいくなら、ヴォーカルのキー下げたほーがええよなぁ。
OZ時代のカルメン・マキみてーならともかく。
なんで限界ギリギリっぺぇハイトーンで唄うのか?
ただ、欧米人にはファニーな印象を与えて新鮮かも知れねーですが。
なお、日本国内で取り扱っとる店が少ねぇんで、希少価値から既にアホみてーな値段で売ってる輩がおりますが、適正価格で入手できなかったらiTunesストアで音楽ファイルの購入をお勧めします。

 youtubeにアップしたライブ映像削除(ガブリエル・タナカなる人がアップした劣悪なものはある。)や、マイスペースを閉鎖、新たにHPを開設するもコンテンツが設置される気配がねーんで、解散したのかと思ったら昨年のインタビューが行われとりました。
で、結構、びっくり。

・AYAはバークレー音楽院に通っていた。(それにしては色々と...。)
・AYAは黒澤映画が好き。
・AYAのフェイヴァリット・シンガーはジャニス・ジョプリン...と山田雅樹。
・上記の発言に山田雅樹は「今の俺はデブでよれた奴だよ」と自虐的に笑う。(シンガーに戻るつもりは無いようだ。)
・AYAが「日々鍛錬し、モチベーションを保っている」という発言に山田雅樹は「飲んだくれている」と笑って続けているが、ジョークのようで彼も鍛錬に怠りはない様子。
・「好きなバンドは?」と聞かれ、山田雅樹は「モーターヘッド」。(え、キリング・ジョークとか好きじゃなかったのか?)
・「日本のバンドでは?」に対し「X Japan」。(これはインタビュー当時、再結成ツアーが行われたことによるリップ・サービスと思われる。)


因みに、インタビューを行ったメディアが日本のカウンター・カルチャー・マニヤなサイト(アイドルのニュースも報じるようなとこ。)なんで、上記のよーな発言が見受けられたんだと思います。
全文は下記にて。
FiRESiGNインタビュー

 ともあれ、海外で頑張っとる日本のバンドは他にもいますが、メジャーで海外進出までしたミュージシャンがインディーで活動っつーのは相当な覚悟なわけで、一曲聴いてみましょう。
AYAの歌はこんくらいのキーが適正だと思います。あと、曲自体がアルバム中、アレンジもギターも一番ええと思います。(絶対、山田雅樹は日本からこの十年で何度かなんらかのオファーはあったと思うのだが。)
話逸れますが、もし、ロニー・ジェイムス・ディオのトリビュート・アルバムが製作されるなら、山田雅樹にLast In Line歌って欲しいですな。色気のあるクリーン・ボイスと唸るよーな声の対比がマッチするはずです。

<FiRESiGN - Explode>



(注)高崎晃の奇行や発言:『エンジン』あたりのツアーと思われるが、テキーラ等のハードリカーで酩酊し、ステージ上で不気味に笑いながら代表曲Crazy Doctorを「ふひひ、次の曲はキチガイ医者」とMCしたり、久方ぶりの海外レーベルとの契約の試金石的ライブが(当時の新曲が退屈だったこともあり)盛り上がらなかったことをファンに逆ギレしたと、当時のギター雑誌でレポートされていた。

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俺が思う「日本らしさ」”音楽編”Flower Travellin' Band『Satori』

2011年01月23日 00:00

 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、よく、びた一文にもならねーのにネット上で雑感や情報を発信する奴を露出狂とする傾向があります。
ま、あながち間違いじゃねーですな。
僕ぁ、最近、呑むより呑まれるで外で呑むと酔っぱらって脱いだり暴言吐いたりしますから。(不名誉なことだが、事実なので仕方がない。そのうち痛い目に遭うだろう。)
とはいえ、そんなネットにおけるストリーキングの世迷い言に知りたい情報を、ポータル・サイトの検索で読んでくださる方がいることも事実ですから、金貰ってねー程度の責任を持って書いとります。(たまに誤った情報を記したことを知ると、素直に訂正する。)
で、先日、「内田裕也がルー・リードと揉めた」っつーエピソードを調べとりましたら、ジョー山中に行き着きました。

 ジョー山中っつーと、一般的に映画『人間の証明』の主題歌が有名です。
が、1990年代が青春だった僕にとってはフラワー・トラヴェリン・バンドのヴォーカルなのです。
1990年代後半に、温故知新的なバンドが色々出てきまして、そーいった輩に影響を与えたパイオニアが再評価されました。
そん中で日本代表の一つがフラワー・トラヴェリン・バンドだったと。
当時、僕ぁ若気の至り全開でしたから、酩酊しながら彼らの『SATORI』を聴いたもんです。

Satori.jpg
『SATORI』
(1971年リリース)

1.Satori Part1
2.Satori Part2
3.Satori Part3
4.Satori Part4
5.Satori Part5

(再発期によっては日本語のデモ音源の収録もあり。)



【この作品を一言で語るなら「俺が思う日本らしさがある」。】

 改めて聴いてみて、ええとことダミなとこを明確に感じました。
えー、まず、今じゃ「精神年齢いくつよ?」と冷笑されとる内田裕也ですが、僕ぁ有りだと思います。
20~30代までロック・ミュージックについて熱く語り、不惑を超えると文化人面する輩が海外に多いんで、還暦過ぎても相変わらずなとこはすげーです。
僕が三十代半ばに差し掛かる今も「チンポ!まんこ!」連呼し、ライブ向けの髪型に「内田裕也みたいに」と美容師さんに注文するわけです。
三年くれー前のだと思いますが、新年恒例のフェスティバルでのパフォーマンスは古稀間近と思えねー威風堂々としたもんでした。
そんな内田裕也がグループ・サウンズ全盛時に、「こんなんじゃ海外で通用しない」と思ったか結成したのがフラワーズです。
このバンド、麻生レミをヴォーカルに迎え、1968年当時の洋楽ヒット曲を中心にカヴァーした『チャレンジ』を発表します。
結果、予想外に売れなかったよーですが、世相に合わせてた麻生レミの歌がハンパなく、特にジョージ・ガーシュイン作、ジャニス・ジョプリンによるヴァージョンが有名なSummer Timeやらが素晴らしかったという。
海外のR&Bシンガーにひけをとらねーんですが、日本人的な節回しがあるんですね。
皮肉にも、現在はCD化されるや予想以上の売れ行きでプレミア価格がついとるっつー。

 今じゃ白髪鬼(漫画『傷追い人』ではない。)と、見てくれより演技力なババア(樹木希林)夫婦ですが、昔はこんなんでした。
内田裕也
いや、そりは置いといてですね、フラワーズにジョー山中を呼び寄せ、フラワー・トラヴェリン・バンドとして心機一転します。
これにより、内田裕也はプロデューサーになるんですが、沢田研二やらジョー山中やらを発掘して世に出した慧眼はもっと評価されてええと思います。

 諸説が色々ありますが、日本人とジャマイカンのハーフであるジョー山中は少年時代から地元じゃ有名な喧嘩師だったよーで、自分から門戸を叩く前に協栄ジムからスカウトされたみてーです。
が、プロになってから自主的に辞めたっつーのと、年齢詐称が発覚してライセンスを剥奪されたっつー説があります。
ジョー山中
当時、ハーフ=差別の対象っつー少年時代を生き、一応は元ボクサーながら、十分暴力沙汰を起こしかねねー輩をバンドのフロントマンに据えたという。
んで、ジョー山中は公称3オクターブの声を持つシンガーとして表舞台に立つわけですが、こりがとんでもねーっつー。

 フラワー・トラヴェリン・バンドの1stは、現在も変わらぬ英米ポップ・ミュージックへの憧れが感じられます。
が、2ndにあたる本作は、当時の英米における大御所ロック・バンドに引けを取らねー演奏力と、日本特有のエッセンスがちりばめられております。
特にSatori Part2とSatori Part5ですね。
ただ、残念なのは、内田裕也の意向なのか、はたまた予算が無かったのか、ほぼ一発録りっぺーとこですね。
ヴォーカルがファルセットに変わるとこで若干フラット気味になったり、いくら超人的な声とはいえ、ライブじゃねんだから完璧なテイク録るかレコーディングにもっと工夫してくれ、と。

 僕みてーに生まれたらとっくに解散してたっつー世代からすると「ああ、惜しい!」と思うんですが、リアルタイムで聴いてたしとからすると単純に「凄いバンドだ!」と感嘆としたんあじゃねーかと思います。敢えて全曲英語だったこともあり。
読書量は少ねぇですが、好きな作家の一人である藤沢周は、芥川賞受賞前は青春時代に好きだったもんのタイトルを小説の題名にする傾向があったよーでして、『死亡遊戯』の他、『Satori』(読みはサトーリ。架空のドラッグをテーマにした作品。)っつー作品があります。
なので、リアルタイム世代からすると、衝撃的な作品だったと思われます。
僕も衝撃受けましたけど。
ただ、前述のよーに、もう少しヴォーカル・トラックに金と時間を割いて欲しかったな、と。
因みに、1stアルバムで本家発表の翌年にブラックサバスのBlack Sbbathを早くもカヴァーしとるよーに、ギターの音なんかはディープ・パープルの『イン・ロック』あたりを想起させますが、歌唱法は本作も歌の巧いオジー・オズボーンって感じです。

 冒頭に戻りまして、昨年、肺癌を患い、秋には自宅が全焼したっつーニュースは知ってたんですが、自宅全焼からほどなくして内田裕也のイベントに参加して(律儀だなあ。)Satoriを熱唱したっつーニュースを新たに見つけました。
肺癌患って、64歳で歌ったならとんでもねーなっつー。
更に、ソロになってからヒット曲が結構あるんで「住むとこなんて賃貸でええやん」と思ってたら、前妻との間に生まれたせがれの家に身を寄せとるっつー。
んなわけで、映画『人間の証明』のラストに流れる名曲と、デビュー期は別人のよーですが、双方を聴き比べてみましょー。
てかなぁ、最新の再発元が海外のレーベルだったり、実際、海外のが評価高ぇみてーなんで、同路線で続けてたらメタル・ブーム期のラウドネスやヴァウ・ワウどころじゃねーバンドになってたんじゃねーですかねぇ。

<ジョー山中 - 人間の証明>


<Flower Travellin' Band - Satori, Pt. 5 >


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無国籍でジャンクなおもちゃ箱『Alexander Hacke - Sanctuary』

2011年01月20日 22:32

 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
いやー、先週は寒かったですな。(2011/01/20当時。)
もうね、吐く息は白いし、出す液は白いしで...

リリリリ~ン♪

はい、ハンクです。
え!?テーマが違う?
僕ぁてっきり精液にひっかけて性域っつーオヤジギャグ考えてたんですけど。
聖域ですか。そーですか。すんません、はい。
ハイハイハイ。

<ハイは一回でいい!>

うん。

<坊ちゃん育ちのような言葉遣いはやめろ!>


Sanctuary.jpg『Sanctuary』
(2005年リリース)


01.Minnie And Me (Features A. Hacke and San Francisco Water Organ)
02.Sister (with Algis Kizys, Vinnie Signorelli, Chrislo Hass)
03.Love Me Love My Dog
04.Sonntag
05.Sanctuary
06.Yours Truly
07.Seven
08.Per Sempre Butterfly
09.All American Happy Hour
10.Sugarpie
11.Brush-Throat




【この作品を一言で語るなら、「ジャンクなおもちゃ箱」】


 あー、以前、映画『クロッシング・ブリッジ~ミュージック・オブ・イスタンブル~』を紹介した際、このアルバムを紹介しようなんて書いてすっかり忘れとりました。
アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのベースである、アレキサンダー・ハッケのソロ作品です。

 僕くれーの世代だと、スカムで暴力的な初期から整合性のある現在までネットとかで観たり聴いたりしてアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンを知りました。
実際、僕が小学校高学年の頃からして、デビュー当時のルックスがもてはやされたらしいリーダーのブリクサ・バーゲルドが、スーツ着た現在も続く風貌だったみてーですから、リアル・タイム世代との受け止め方は異なります。
Blixa Bargeld
で、リアル・タイム世代でパンクスだったしとにアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのことを話したら「ああ、廃墟の...え、まだやってんの!?」と。
どーやら、ロック・ドラムが無いため、金属をふっ叩いたり、電動ドリルで壁や地面に穴空けてビートを刻んでいたため、廃墟とかそーゆーとこじゃねーとライブできなかったことが記憶に残ってるよーです。
んで、マイケル・モンロー、ビリー・アイドルとか、ブリクサ・バーゲルドに似た風貌のミュージシャンがリアル・タイムなんで、1990年代以降の風貌のがカッケーと思いますがね。
Blixa Bargeld02

 単なる過激なチンドン屋じゃなく、徐々に進化して今じゃしっかり整合性のある曲を作るよーになってく過程を聴いて存在を認識した後追いファンからすると、パンクっつーより、以前書いたよーに音楽の可能性探求集団って感じなんすよね。
実際、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンからの影響を口にするミュージシャンは多岐に渡りますから。(更にブリクサ・バーゲルドは1980年代から一貫して「俺たちはプログレッシヴ・ロックをしている」と語っているらしい。)
で、僕が本作を手にしたきっかけは、ジャケ買いもあるんですが、イタリアのロック・シンガー、ジャンナ・ナンニーニ(英語読みだとジアーナorガイアナ・ナンニーニか?)をフィーチャー、他、時代の最先端を切り開いてきたミュージシャンらが参加っつーポップに惹かれてだった記憶があります。
gianna-nannini.jpg

よもや、十年以上、映画みねーで生きてきた僕が狂ったよーに見始めたら偶然見つけたDVDにアレキサンダー・ハッケが主演として出とるとは予想外でしたわ。
Alexander-Hacke01.jpg

 このアルバム、かなりぶっ飛んでます。
インダストリアル、ノイズ、エスニック、パンク、エレクトロニカ、サイケ、ダブ等々。
ただ、耳障りじゃねーっつー。
僕、本来この手の音嫌いなんすよ。殆どが高音域ばっか強調して聴いてて疲れるんで。
ただ、本作は聴けば聴くほど良い作品だと思いますね。
本国ドイツのレビューじゃフランク・ザッパとキャプテン・ビーフハートを引き合いに出されたそーです。
確かに初期ザッパっぺーです。

 ぶっちゃけ、本作を巷で言われとりますインダストアルやエレクトロニカの傑作と比較すると劣ります。
ただ、そりをカバーしとるのは楽曲と録音方法の多彩さだと思います。
ご丁寧にブックレットを広げると、各曲の録音方法や聴き所になる参加ミュージシャンのフィーチャリングが記されとります。
「これはNYの地下室で録音して、レコードのようなノイズが出るようにミックスした」とか色々。
あと、びみょーな作品中心に採り上げるっつーモットーなんで、不特定多数にオススメできねーですが、民謡が好きな僕にはツボです。

 本作のハイライトは、13分を超えるタイトル・トラックSanctuaryと、10分を超えるSugerpieかと思いますが、コンパクトな曲でも聴き所多数です。
因みに、各曲のイメージに写真やオブジェを陳列した写真をブックレットに掲載してんですが、Sugerpieのページにはウルトラマンのゼットンが...。
Sugarpie.jpg

 個人的に「こ、こりは!」と思った曲は、アレキサンダー・ハッケが全ての楽器を演奏し、それをサンプリング、ループさせたSonntagと、ジャンナ・ナンニーニをフィーチャーしたPer Sempre Butterflyです。
前者はループ=機械的な整合性がありますが、巧妙にハズして流し聴きさせねートリックがありますね。
後者は、東欧ちっくな出だしから東南アジアっぺー曲調に変わり、ストリングス・アンサンブルがバックに流れるとこは西欧ちっくです。
単にエキゾチックなんじゃなく、色んな地域のエッセンスを盛り込んでるっつー。
あと、Sugerpieが終わって、最後のBrush-Throatですが、これも狂ったアンビエント曲ですね。
チベットのラマ僧を想起させる唸りにプンギー?を被せてますが。
なお、こりは現在どーなっとるか知りませんが、ディレイ・ラマっつー海外のプラグイン・ソフトを使うと似たよーな曲が作れます。
僕、「俺のどこが変態なんだ?」っつー曲で、ディレイ・ラマを多重録音してパーカッションなんかのループを被せたことあります。
ともあれ、youtubeは10分までしかアップできねーんで、前述の二曲を聴いてみましょーか。
僕が購入した頃は二千円くれーした記憶があるんですが、某メガストアのネット通販見たら千円きってました。
それなら買いだろっつー。

<Alexander Hacke - Sonntag>


<Alexander Hacke - Per Sempre Butterfly>

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アルビオンの娘たちとレオン・ラッセル一派

2011年01月18日 21:33

daughters_of_albion.jpg『Daughters Of Albion』
(1968年リリース2008年CD化)

01.I Love Her and She Loves My
02.Still Care About You
03.Yes, Our Love Is Growing
04.Candle Song
05.Ladyfingers
06.Sweet Susan Constantine
07.Hats Off, Arms Out, Ronnie
08.Good to Have You
09.Well Wired
10.Hey, You, Wait, Stay
11.Story of Sad
12.1968: John Flip Lockup



【この作品を一言で語るなら「色々勿体ない」】

 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、禁煙してから貯金でもすりゃえーのに、妙な心の余裕から仕事帰りにレコ屋で中古チェック、掘り出し物をめっけて帰宅。ジョギングしてシャワー浴びて、酒飲みながら聴くっつーのが至福の時間です。(俺はこういう生活やチンポを扱いてりゃ満足なんだ。安い人間だろ?)

 漠然と入店するのもなんなんで、事前にネットで「最近のフェアは?」と調べてから行きます。
とはいえ、メガストアより音楽マニヤ向けの店のが危険です。
海賊盤の中古DVDって千円以下で買えるんで、気づくと海賊盤DVD三枚、プレイヤー持ってねーのに好きなバンドの復刻アナログ盤、「さっさとリリースしとけや」っつーレア音源を集めたCD三枚くれー抱えてます。
「い、いかん!いかんぞ!」と各商品を元の棚に戻し、ホントに欲しいもんだけ買う僕ぁアブナイ客です。

 本作を購入した理由はいくつかあります。
まず、ユニット名。
こり、ピン!ときたしとは詩人か詩に造詣深ぇです。
ウィリアム・ブレイクの代表作の一つ『アルビオンの娘たちの幻影』から頂戴したと思われます。
次にメンツ。
グレッグ・デンプシーとキャシー・ダルトン(本作ではキャシー・エッセ名義。)のデュオですが、デンプシー作の曲をレオン・ラッセルがアレンジしてプロデュース。
daughters_of_albion01.jpg
更にラッセルが呼んだか、ギターにジェシ・エド・デイヴィス。
このしと、ソロより共演したしとらが凄ぇです。
ジョン・レノン、ジョージ・ハリスンらを始め、ロッド・スチュアートがビッグ・ネームになる運命的アルバム『アトランティック・クロッシング』なんかに参加してます。
意外なとこだと井上陽水とも共演。
残念ながらドラッグのオーバードーズで四十代にして亡くなりましたが。
ベースはカール・レイドルで、エリック・クラプトンの代表曲である一つ「いとしのレイラ」を収録したデレク・アンド・ドミノスのアルバムなんかに参加するっつー。
こんな豪勢なメンツながら、2008年まで未CD化だったよーで、それが在庫処分フェアの一枚に含まれとりました。
お値段1,200円也。Amazonでも倍以上する上、この手の作品は内容問わず「売れなかったから解散。売れなかったからCDにしない」っつーわけで、買えるうちに買っとけと。

 1970年代になり、スワンプ・ロックっつージャンルが生まれました。
ここらへんが「ジャンルなんかどーでもええがな」と思うとこですが、要はサザンロックの黎明期における呼称で、米南部出身のミュージシャンによる南部独自のサウンドを指すよーなんです。
が、レオン・ラッセルって南部出身じゃねーです。でも、スワンプっつーくくりの話になると大御所として語られます。
他、イギリスでも類似したサウンドのバンドを「ブリティッシュ・スワンプ」なんて紹介しとりますが、こーゆーご都合主義で定義があやふやなとこに「ポップ・ミュージックのジャンル分けは不毛」と思うのです。
良い物は良い、ダミなのはダミでええだろっつー。
まあ、便宜上、ジャンルを指す呼称を用いると便利なんで僕も「これは○○」とか使いますけど。
嗚呼、話逸れました。

 全編が所謂スワンプ調でもなく、発表されたのが1968年っつー割にはサイケ色も薄く、サウンドもマニヤ向けなもんじゃねーです。
レオン・ラッセルによるプロデュースでサウンド良好、彼がアレンジしたホーン&ストリングスも上手く馴染んでます。
もし、1970年代前半に発表されてたら、男女デュオによるポップ・アルバムの名盤と語り継がれてたかもしらんです。
僕、「なんでも聴きます」みてーな聴き方じゃなく「気に入ったらなんでもOK」なんで、上記のよーな分析は不要なんですが、この手のマニヤってうるせーんですよね。
とはいえ、売れなかったのが勿体ない内容です。

 CD化にあたって裏面に記さしたと思うんですが、ユニットと参加ミュージシャンの説明がなされてます。
「レオン・ラッセルがプロデュースして、伝説的なギタリストのジェシ・エド・デイヴィスが~」とかプリントされとります。
フツー、メンバーの表記はインナー・スリーブですが、こりは痛々しいです。
そんだけジャケットが「何これ?」と残念な証拠です。
ジャケだけ見ると、自主製作のチープでマニヤ向けな印象受けますから。勿体ない。

 ウィリアム・ブレイクの作品から引用されたと思われるユニット名を活かせてねーのも勿体ねーですね。
『アルビオンの娘たちの幻影』は、今世紀に入って岩波文庫の選詩集に原文と対訳が全文収録されたもんが刊行され身近になりました。
海外での評価は知りませんが、日本だと、詩の内容よりこの絵が有名です。
blake_daughters_of_albion.jpg
こりをジャケに使えばよかったのに、と思います。(音楽に限ったことではないが、ブレイクの詩や絵を作品に借用するミュージシャンは多い。)
なお、詩の内容は、愚直なセオトーモンが、18世紀当時の奴隷売買や既知のものしか肯定しない風潮を具現化したブロミオンに恋人である天真爛漫なウースーンをレイプされ怒りのあまりブロミオンとウースーンを背中合わせに縛り洞窟に監禁するっつーもんです。
んで、三者がそれぞれの考えを語りかける構成なんですが、結構偏った解釈になるだろーなぁ、と。
重要な発言の殆どはウースーンによるもんですが、ガチガチのフェミニストが読んだら偏狭な感想しか抱かねーだろーな、と。確かに当時男尊女卑な社会にあって、女性の権利を強く打ち出す考えを持った人物として描かれてますが。
僕ぁ老荘思想的なもんを強く感じたんで、「天真爛漫」と形容しましたが。
嗚呼、また話が逸れた...。

 一応、輸入盤に帯付けて国内盤仕様で扱ってもいるよーですが、恐らく歌詞の対訳はねーはずです。
てか、聴く限り、ウィリアム・ブレイクはどーでもえーよーな歌詞だと思います。
とはいえ、ブレイクの作品をユニット名にしたことによって、レオン・ラッセル=1970年のアルバム、もっと突っ込むとA Song For Youのしとっつーイメージを払拭してくれた作品でした。
Leon Russell
先述のとーり、ヨーロッパのプログレッシヴ・ロックと同じく、この手の作品も発掘し出すと時間も金も浪費するんで。
んなわけで、一曲聴いてみましょー。

<Daughters Of Albion - 1968 - John Flip Lockup>

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